目的: 転がり接触面の塑性接触圧力域での使用を可能とする設計手法を構築するために、高接触圧力下での塑性変形進行、流体潤滑油膜状況、転動疲労発生状況を実験的に確認する。 実施内容: 平成18年度は、転がり接触面の塑性変形進行に伴う接触圧力と弾性流体潤滑油膜厚さの変化挙動の解明を行った。光干渉式弾性流体潤滑油膜厚さ測定装置を用い、塑性接触圧力状態で接触繰返しを行い、繰返しに伴う接触領域、油膜厚さおよび転動体(ステンレス鋼球)内部の硬さ変化(加工硬化程度)の実測を行った。 結果: 実験の結果、塑性変形のシェイクダウン状態(加工硬化が飽和)になる接触繰返し数、および初期接触圧力に応じた接触繰返しによる接触圧力低下程度を求めることが可能となった。結果を接触圧力変化予測式とすると共に、実験チャート化した。特に、従来転動に伴うシェイクダウン回数が4〜5回の応力繰返し数といわれていた点は、今回の実験で、成句ダウン回数は初期接触圧力が大きい程大きく、接触圧力と初期内部硬さの比が1.0程度では約10E7回の繰り返しを要することが明らかになった。 また解析により、潤滑油膜変化は塑性変形形状に対応していることも明らかにできた。 今後の予定: 平成19年度はローラ試験片を用いだ線接触エッジ接触部の塑性変形を伴う弾性流体潤滑油膜観察と、ローラによる片当り集中接触圧力下で塑性変形をともなう状況下での、転動疲労発生限界の確認を実施する。
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