研究概要 |
潤滑しゅう動条件下において,しゅう動表面と潤滑油の「相性」はその摩擦特性に極めて大きな影響を及ぼす。ここで言う「相性」とは,表面の濡れ性,潤滑油の表面吸着性等を指す。しゅう動面の表面エネルギーを変化させることにより潤滑特性の向上が見込めるため,表面と潤滑油の相性に関する研究は数多く成されている。また,境界流休潤滑条件下での摩擦特性に関与するだけでなく,近年,流体潤滑条件下において潤滑油と表面の間に速度差けなわち,固体表面における流体のスリップ)が観察されるなど,表面近傍での潤滑油の挙動はトライボ特性の把握に極めて重要である。しかしながら,最表面近傍での潤滑油の状態を微視的に観察した研究はその重要性に反して極めて少なく,中でも,固体表面を潤滑油に浸漬した状態で直接観察を行った例は見当たらない。そこで本研究では,中性子反射率法を用い,物質最表面近傍における潤滑油の濃度測定を行うものとする。本年度は,異なる表面エネルギーを有する3種類のDLC膜と水を対象とし,DLC膜を水中に浸漬させた状態で,その最表面近傍に存在する水の濃度測定を試みることとした。 中性子反射率計には,日本原子力研究開発機構設置のMINEを用いた。各DLC膜試料の大気中/水中での中性子反射率プロファイルを得,それらを解析することにより,以下の結果を得ることができた。 (1)親水DLC膜表面に形成されたO_2プラズマ処理層の厚みは約15nmである。 (2)親水DLC膜中に浸透した水層の厚みは約6nmである。 (3)撥水DLC表面に存在する「低濃度水層」の厚みは約2nmであり,その密度は約1/2である。
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