本年度は、気流微粒化において、噴射器内でのキャビテーションの発生が微粒化過程へ及ぼす影響について調べた。初期の計画では、噴射器内の流れを可視化するため二次元噴射器を使用する予定であったが、ミクロン粒子を多量に生成することが最終目標であるため、とりあえず噴霧粒子径を測定する必要があり、本年度は実用的な同軸気流噴射器を使用することとした。まず、ノズル出口部に縮小部を持つ同軸気流噴射器を製作した。ここで、縮小部入口が直角なものとRを持つものの2種類のノズルを製作した。縮小部入口が直角なものはRを持つものに比べてキャビテーションが発生しやすいため、両者を比較することによってキャビテーションの微粒化過程への影響が調べやすいためである。最初に気流を流さない状態で、液噴射速度を変えながら、ノズルから噴射される液噴流の様子を観察した。その結果、Rを持つノズルではレイノルズ数Re=8400において、噴射された液噴流の乱れは小さく、ノズル内でキャビテーションは発生していないか、あるいはクラウドキャビテーションが発生しているものと思われる。入口が直角のノズルでは、同条件で液噴流はかなり乱れており、ノズル内でシートキャビテーションが発生しているものと予想される。同じノズルで、液噴射速度を少し増大しRe=8600とすると、ノズルから噴射された液噴流の径は出口径より小さく、乱れも小さくなる。この条件では、ノズル内でハイドロリックフリップが発生し、縮小部ではく離した液流はノズル内壁に再付着せずにノズルより噴射されたものと考えられる。つぎに、気流を流し生成した噴霧の粒径を粒子解析装置により測定した。その結果、シートキャビテーションが発生すると粒径はやや減少すること、ハイドロリックフリップが発生すると粒径は急増することが明らかとなった。次年度では、粒径を減少するのに最適なキャビテーションの性状を調べることが必要である。
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