研究課題
基盤研究(C)
レーザーの集光によって発生する衝撃波の実験計測を行った。衝撃波は、種々の金属板にレーザーを照射することで発生させた。金属板には、アルミ、ステンレス、真鍮、チタンを用いた。レーザーの商社強度は、通常のレーザー加工の強度よりもやや強い程度のものであり、1GW/m2の程度である。この強度のもとに、衝撃波か発生する様子を、2mm×2mm程度の観察領域においてシャドウグラフ法およびBOS法により光学的に観察し、衝撃波のマッハ数の時間的な変化を求めた。衝撃波のマッハ数は、金属に対して大きな依存性があり、これは、金属の電磁気学的な特性によって、その依存の関係を明らかにすることができることを示した。また、衝撃波の伝播に関しては、その伝播速度の時間的な変化を求め、平面波・円柱波・球面波の爆発波の自己相似解と比較した。自己相似解にはテーラーの自己相似解および桜井の自己相似解との比較を行った。自己相似解は、平面波の相似解が初期の段階で最もよく一致し、その後、球面波の相似解に近づくことを示したが、本研究の問題とする時間範囲においては、平面波の解が最もよく一致するとの結論を得た。レーザーによって与えられる光の入射エネルギーから衝撃波の動的なエネルギーへのエネルギー変換効率は、エネルギー変換効率としてまとめた。これによると、エネルギー変換効率は、最も効率の良い条件化で20%程度と、予測よりも非常に高い値を示している。これらの変換効率が正しいか否かについては、可視化計測による密度変化から、衝撃波の持っているエネルギーが衝撃波の伝播速度から求めた値と良い一致を示していることから、ほぼ妥当な結果であるとの結論を得た。このようにして、基本的は衝撃波を発生させるメカニズムとその効率が明らかとなったので、次に、衝撃波の強さを制御するデバイスの設計を行った。デバイスの設計は、これまでの実験結果を元にして、流体計算ソルバーを用いて種々の衝撃波発生デバイスを設計した。次年度にこれらを具体的に選定、試作を行い、ドライバの実現に向けて実験を重ねる予定である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
J. Thermal Science Vol.15, No.1
ページ: 45-53