研究課題
本年度は、先ず、中心部の渦管の周囲に渦層がspiral状に巻き付くLundgren spiral vortex(以下、LSV)形成に対するレイノルズ数の効果を、Newton性の一様等方乱流のDNSデータを用いて検証した.高レイノルズ数では、差動回転による渦層の伸長がより増大し、強い渦度を伴うLSVを第1世代とし、このLSVがその渦層ならびに周囲のBlob状の渦を伸長して第2世代のLSVが形成され、以後instability cascadeにより逐次的に自己相似で階層的なLSVが形成される事、一様せん断乱流においても同様な形成が起こる事を示した.更に、LSVは多重のモードを有し、渦層と渦管上の渦度の配向により、対称な2モードと非対称な1モードから成る事を示し、各モードの形成過程を明らかにし、Kelvin-Helmholz不安定性による単一渦層の巻き上がりとは異なる形成過程の存在を示した.次に、この形成過程に対する粘弾性効果を一様せん断乱流において検証した。本年度は、特に、エネルギースペクトルに対する粘弾性効果に着目し、Kolmogorovの-5/3乗則スペクトルを定常基本解とした摂動展開により得られる階層的なスペクトルを用いて、同展開中の非平衡成分である-7/3乗スペクトルの成分の抽出を行った.この成分は散逸率εの時間変化に起因するが、Newton性流体では、-7/3乗成分はεが極小値から増加する時間帯においては低波数成分が正値を取るが、極大値から減少する時間帯で負値に転じて高波数成分に伝達され、カスケードが起きる事を示した.この過程で、初期にLSVが有するモードの他モードへの遷移が起きる事を明らかにした.次に、この-7/3乗スペクトルに対する粘弾性効果をJohnson-Segalman構成方程式を用いたDNSにより解析し、非アファイン性が強い場合、Newton性流体で見られた-7/3乗スペクトルの高波数成分への伝達の発生が抑制され、LSVのモード遷移とカスケードが阻害され、乱流生成が低減される事を示した.
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