研究概要 |
本年度は,シミュレーションによるサクションガン内空気流の流体力学的解明を主な目的とし,研究を実施した。得られた成果を以下にまとめる。 1.エアサクションガン内空気流について,昨年度の計算成果を参考にして計算モデルを構築し,計算機シミュレーションを行った。その結果,(1)糸吸入管から吸引された空気はラバル管と直管内をらせん形の流線を描きながら流れる,(2)ラバル管のど部領域において空気流により負のゲージ圧を示す領域が現れる,(3)エアサクションガン外側の空気は,糸吸入管からラバル管における負圧の領域へ糸吸入管を通過して吸引される,(4)エアサクションガン内の空気流は軸流速,周方向流速ともに管壁付近で大きくなっており,糸吸引力に影響を与えるのは管壁付近の空気の流れであることが推察される,などがわかり,エアサクションガン内における全体的な空気流の状態が明らかとなった。 2.計算結果を基にエアサクションガンの寸法を選定し,今度は空気流の流速,つまりタンク内圧力を変化させて,ハイスピードカメラを用いてエアサクションガン内の糸姿勢の経時変化について検討した。その結果,(1)エアサクションガン内における糸はらせんを描きながらエアサクションガン出口方向へ進む,(2)糸のらせんピッチは糸推進管の上流側よりも下流側(出口側)へ近づくにつれ小さくなる,(3)エアサクションガンの供給空気圧力が高くなると,エアサクションガン内への供給空気流量が大きくなり,らせん状に運動するエアサクションガン内の糸運動の軌跡の振動数が減少し,エアサクションガン内での糸の滞留時間が短くなる,などがわかり,最適な寸法条件下でのエアサクションガン内の糸姿勢の経時変化が明らかになった。
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