研究概要 |
本研究の最終目的は,マイクロブラスト加工等に好適な微細で粒径、形状の揃った金属粒子を効率的に製造する技術を確立することであり,本課題ではそれに有効な溶融原料の微粒化法として小径平円盤の超高速回転による微粒化法を提案し,模擬流体による実験観察によりその有効性を立証することを目指す。昨年度の水を試料流体とした実験の結果,小径平円盤の超高速回転では,従来の実験式で微粒化に好適(液糸状の微粒化形態)と予測される範囲を上回る流量でも,微細液糸状や乱れた膜状の微粒化形態により微細な噴霧が生成されるなど,この微粒化法の可能性が示唆された。 これらの結果を踏まえて本年度は,水に加えてアセトン,エタノール,シリコン油#2,シリコン油#10を試料流体とすることにより,液体の物性値、円盤半径、回転数、流量を変えて微粒化過程の詳細な実験観察を行った。その結果,(1)微細液糸状や乱れた膜状の微粒化形態が水以外の液体でも観察されることを確認した。(2)微粒化形態が微細液糸状や乱れた膜状に遷移する条件についての実験相関式を提示した。(3)円盤上の液膜の流動状態の観察結果を交えて考察を加え,微粒化形態の遷移が液膜の変動と密接に関連していることを明らかにした。(4)比較的低い回転数の範囲に対する従来よりも簡便な無次元の実験相関式を提示した。(5)生成される液滴径に直接関係する円盤端での液糸間隔について,液糸状ならびに微細液糸状の両領域に有効な無次元の実験相関式を提示した。 低融点金属(ガリウム,融点29.8℃)による微粒化試験を検討したが,良好な結果は得られなかった。金属噴流表面の酸化が原因と考えられたので,電気的に雰囲気を制御して表面の酸化を抑制する手法を考案し,実際のブラスト加工用粒子製造プロセスを模擬した低融点金属の水中噴流の実験観察により,その有効性を確認するとともに金属の微粒化における表面酸化防止の重要性を確認した。
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