研究概要 |
超音速過膨張噴流の準定常解析手法が可能となる適用限界を実験および数値解析的に明らかにすることを主題とした本年度の計画通りの研究を実施し,以下の結論を得た. 1.非定常超音速過膨張噴流における履歴現象の実験的解明 過膨張噴流の生成過程に関し,ノズル圧力比(よどみ圧/背圧)の時間的変化割合を種々変化させた場合の実験を行い,本噴流の履歴現象に対して非定常性が及ぼす効果を明らかにした.得られた知見は以下の通りである. (1)出口マッハ数2および2.3のノズルにおける準定常的とみなすことができる流れ現象は,圧力比の時間的変化割合がそれぞれ0.514(s^<-1>)および0.716(s^<-1>)以下の場合である. (2)ノズル出口端から発生する斜め衝撃波の正常反射→マッハ反射→正常反射に至るヒステリシスループは,ノズル出口からの衝撃波の定在位置に対しては時間回り,マッハ反射におけるマッハディスク直径に関しては反時計回りである. 2.噴流構造の履歴現象に関する数値解析 本噴流の履歴現象に対し,その準定常解析が可能となる適用限界および履歴現象のループの方向について明らかにした.得られた知見は以下の通りである. (1)準定常状態が成り立つ無次元時間を数値解析により調査し,無次元時間は流れ場の圧力比に依存することを示した.なお,得られた数値解析結果は実験結果とおおむね一致する. (2)ノズル圧力比をよどみ圧一定にして背圧を変化させてもその逆であっても,ヒステリシスループの方向は同じである. 3.研究の総括 超音速過膨張噴流構造の準定常解析手法が可能な適用限界を実験および数値解析的に提示するとともに履歴現象のループの方向に関する知見を得た.よって,本年度の実施計画は完全に実行された.
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