| 研究概要 |
本研究は、層状誘電液体の自由表面上の気相に放電電極を配置した気液2相流体のモデルにおいて、気相微弱放電下で誘電液体に誘起する電気流体力学現象を定量的に解析することを研究の目的として実施した。この電気流体力学現象は、流体内部の電界による誘電的特性と放電による電気伝導特性の単独作用あるいは複合作用が支配的な要素である。そこで、本年度は気液2相電気流体力学現象を誘起する電気的駆動力を解析するために、気相および液相における誘電的特性および電気伝導特性の測定を実施した。以下に本年度の研究実施内容と成果について記述する。
1.誘電的特性および電気伝導特性の測定と解析 気相微弱放電が本現象のきっかけとなっていることから,これに伴う各相流体内部のマクスウェル応力の変化を算出すると同時に,電気伝導に伴う荷電粒子に働く電気力を算出した。そして、荷電粒子の電荷量と移動速度を定量化し,その電気伝導特性から電気伝導性効力を解析した。その結果、各相流体内部の流動現象はマクスウェル応力よりも電気伝導性効力が支配することを明らかにした。
2.各相流体内部におけるイオン流場の速度計測と解析 イオン流を伴う電気流体力学的な流れ現象について流速分布の測定と解析を実施した。その結果、気相微弱放電下における速度変動値の定量からイオン流の非定常性に関わるフォースバランス等のパラメータを見出した。特に、Navier-Stokes運動方程式の外力項において電気流体力学効果に及ぼす電気伝導性効力項を無次元化したConductive Electric Rayleigh Numberに基づいた電気的駆動力が本現象の定量化に適合できることを明らかにした。
|
