研究概要 |
本研究において解析と解明を目的とした現象は、気体相と誘電液体相の界面において、気相で微弱放電を発生させると同時に液体が流動する一つの電気流体力学現象であった。すなわち、本研究は層状誘電液体の自由表面上の気相に放電電極を配置した気液2相流体のモデルにおいて、気相微弱放電下で誘電液体に誘起する電気流体力学現象を定量的に解析することを研究の目的として実施した。具体的には、内径が30mmの透明な円筒ガラス容器内に平板電極(底面)と直径が1mmの針状電極を配置して、その電極間部分にシリコーンオイルの自由液面を形成した評価モデルを用いた。この電気流体力学現象については、平成19年度までの研究の成果として放電による電気伝導特性の単独作用が支配的な要素であることを見出した。そこで,本年度は気液2相電気流体力学現象を誘起する電気的駆動力を解析するために、気相および液相における電気伝導特性の測定を実施した。具体的には,気相微弱放電が本現象のきっかけとなっていることから,これに伴う各相流体内部の電気伝導に伴う荷電粒子に働く電気力を算出した。そして、荷電粒子の電荷量と移動速度を定量化し,その電気伝導特性から電気伝導性効力を解析した。また、この電気伝導性効力と流速分布の定量化から、Navier-Stokes運動方程式の外力項において電気流体力学効果に及ぼす電気伝導性効力項を無次元化したConductive Electric Rayleigh Numberに重点を置いて本現象を解析した。このことより、電気伝導性効力の効果を詳細に検討しながら、本現象における電気的駆動力の定量化が可能であることを明らかにした。
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