研究概要 |
1. 通常は無視される面内変形に対する弾性エネルギーを持つモデルにおいて,形態変化の相転移がその面内変形弾性から受ける影響ついてMonte Carloシミュレーションの方法で研究した。その結果,面内変形弾性は表面揺らぎの相転移を強める働きがあることを明らかにした。(Euro. Phys. J.B 2008) 2. 膜骨格によって支えられるモデルの形態変化を研究し,平板や棒状など,球面状以外に多様な形態が現れることを示した。この研究では膜骨格が実際の細胞膜等に見られる多様な形態変化の一つの要因である可能性を指摘した。(Euro. Phys. J.B 2008) 3. 流動性を持たない膜の一部を固定するという境界条件で膜の表面張力を計算した。相転移点の付近で,曲げ剛性パラメータの少しの変化で表面張力の値が不連続に変化する可能性を指摘した。(J. Stat. Mech. 2008) 4. 小さな穴の開いた球面状の膜モデルの相構造をMonte Carloシミュレーションの方法で研究し,膜がつぶれるcollapsing相転移と表面揺らぎのfluctuation相転移について,穴が無い場合に知られている結果(=2つの相転移は1次相転移)と比較した。穴の大きさは十分に小さなものと仮定した。その結果,穴があってもcollapsing相転移の強さは変わらずその相転移次数は1次のままであるが,fluctuation相転移は穴の影響によって弱まり相転移次数は1次から2次に変化することを明らかにした。(Euro. Phys. J.E 2008)
|