研究概要 |
1.目的 壁面衝突による微粒化促進の機構を単純化したモデルノズルを用いて明らかにし,ジェットエンジン用燃料噴射弁にたいして壁面衝突を利用することの効果を明らかにした. 2.装置と方法 単孔ホール式ノズルを,壁面には,基礎研究ではステンレス棒端面を,ジェットエンジンバーナでは透明なアクリル樹脂を用いた.微粒化の評価には微小角散乱粒径計測装置を,噴流や液膜の速度測定にはLDAを用いた.供試液体は蒸留水とエタノールの水溶液を用いた. 3.壁面衝突微粒化機構の基礎的解明に関する結果 (1)液体噴流速度はポテンシャル速度と同一の値となる一方,衝突後に形成される液膜速度は表面張力によって減速し,ポテンシャル速度よりも小さくなる. (2)液膜微粒化の粒径は,自由噴流微粒化の場合よりも小さくなる.この傾向は噴射圧力が低いほど顕著となり,壁面衝突の効果としては粒径で1/10以下にもなる. (3)ノズル直径が0.2mm,噴射圧力が7.5MPa,壁面への衝突角度が90degの場合,平均粒径(ザウテル平均値)は18μmとなり,絶対値としても極めて小さな液滴群を生成することができる. (4)壁面衝突により生成した液膜微粒化の粒径は,ノズル直径の減少とともに減少するが,傾向線の傾きの絶対値は0.13〜0.29と小さく,ノズル直径にたいする依存性は小さい. 4.ジェットエンジン用燃料噴射弁にたいする応用に関する結果 (1)壁面衝突を利用した微粒化において,ノズル直径にたいする粒径の依存性は基礎研究におけるものよりも大きく,空気流や干渉効果など,ジェットエンジン特有の要因によると考えられる. (2)衝突壁面を凹凸形状とすることによって,それぞれの液膜の干渉は緩和される.
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