研究概要 |
平成19年度の当初は,1.壁面衝突利用の限界特性,2.マイクロアレイノズルの相乗効果,3.PZT素子壁面の効果,4.加熱壁面の効果,5.壁面衝突微粒化促進のジェットエンジンバーナへの応用可能性とその限界特性の計画であった。しかしながら,1,2,3においては,ノズル直径が50〜6μm程度の範囲での単純な液体噴流を用いた研究がすでに産業技術総合研究所で実施されていることが,学会の委員会において判明した。しかもその結果が期待と違い,噴流速度をポテンシャル速度よりも低下させ,微粒化もそれに伴って顕著に悪化するというものであった。したがって,単純にノズル径を減少することは決して微粒化の観点からは得策でないことがわかった。そこで,次の方策である振動子の壁面への衝突を試みた。その結果,振動壁面への衝突は微粒化にまったく影響しないことが明らかとなった。そこで,5.ジェットエンジンバーナへの応用を中心に調べた。実用バーナに近い条件を実現するために,大流量マルチプランジャポンプを使用し,レーザ光散乱法によって噴霧の分散を評価する手法を開発した。その結果,噴霧の分散と微粒化程度を同時に明らかにすることができるとともに,実用化のための重要な指針を得ることができた。実績は別項講演発表とともに,日本機械学会論文集に投稿中(タイトルは「衝突噴流型ジェットエンジン燃料噴射弁の噴霧粒径および噴霧分散特性」)である。さらに,微小粒径計測の必要性から,液体窒素とプローブ,およびデジタルマイクロスコープを利用した凍結法の開発を行った。
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