研究概要 |
マイクロチャネルに大流量の気液二相流を流した場合の液滴飛散限界を評価するために,三角断面および台形断面形状のマイクロチャネルを用い,水-空気系気液二相流の液滴飛散限界の実験測定を行なった.実験では,供給する液相および気相流量を独立に制御することで,入口流量と乾き度を変化させた.評価方法は,出口部での可視化を行うとともに,飛散した液滴を下流の気液分離器で捕獲し,その重量を測定することで液滴飛散限界を求めた.ここで,液滴飛散限界は,液相の1%以上が気相にエントレインされる最大流量と定義した.片側の壁面が急拡大するバックステップ流れにおいて,液滴飛散限界は液膜レイノルズ数,気相見かけ速度とチャネル幅で定義したウェーバー数,およびチャネル幅および流路長さで定義される修正ボンド数の関数となることがわかった.即ち,液膜レイノルズ数が小さい場合は,液滴飛散限界は比較的大きいウェーバー数で観察されるが,液膜レイノルズ数が増加するとともに,液滴飛散限界を与えるウェーバー数は減少した.また,滴適飛散限界を与えるウェーバー数の液膜レイノルズ数依存性は,ボンド数によって影響を受けることも明らかとなった.一方,同一の流量および乾き度においてチャネル幅を大きくした場合,液滴飛散限界は低流量側にシフトしたが,この傾向は従来から液滴飛散限界判定においてよく用いられる予測式であるIshii & Grolmes(1975)の式では十分に再現できないことを示した.以上の実験結果から,あらたな液滴飛散限界を予測可能な整理式を作成した.
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