研究概要 |
平成18年度は、鉛直下向きに流れる一様な強制対流主流に直交して水平な上向き加熱平板が設置された場合について、平板まわりの共存対流の流動と伝熱を流れの可視化および伝熱実験により探った。試験流体には常温の空気を用い、試験平板には、幅W=30,50および100mmの3種類を用いた。この平板の上面にステンレス箔ヒータを貼り付け、交流を通電することにより、等熱流東条件で加熱した。実験は平板幅W基準のレイノルズ数Rew=37-2000、修正レイリー数Raw"=6.2×10^4-5.3×10^7の範囲で行なった。 まず、上向き加熱平板上に生じる流動を流れの可視化により探った。その結果、(1)浮力が小さな強制対流支配下では、平板中央から平板端部に向かう、いわゆるくさび流れが生じるのに対して、(2)伝熱面熱流束がある程度以上大きくなると、平板上の流れは平板中央からプルームとなって鉛直上方に立ち昇り、ついで強制対流下降流と合流して平板端部へ向かい、平板端部から流れ去る一連の流れへ変化することを確認した。以上の可視化結果を参考に、つぎに平板の局所熱伝達率を測定してみた。その結果、(3)強制対流支配域では、熱伝達率は平板全体に亘ってほぼ一定な値を示すのに対して、(4)浮力の増加に伴って、とくに平板端部付近の局所熱伝達率が顕著に増加することが分かった。以上の局所熱伝達率の測定結果を基に、平板の平均ヌッセルト数を求め、無次元パラメータを用いて整理してみた。その結果、(5)共存対流の平均ヌッセルト数NUwは、純強制および純自然対流の平均ヌッセルト数Nuj、Nunより高くなること、(6)また、その比(Nuw/Nuf)は、平板の大きさW、強制対流主流速u∞および伝熱面熱流束9wの如何に依らず、無次元パラメータ(Grw^*/NUwRew^2)によりまとめられることが分かった。また、(7)NuwがNuf、Nunのいずれとも一致しない領域を共存対流域と定義すると、共存対流域は、0.11<(Grw^*/Nuw・Rew^2)<18.0で表せることが分かった。
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