研究概要 |
電子線描画装置の高精度温度制御をモデルにして,外乱温度変動の1%以下(外乱温度変動0.1℃の環境にて対象物の温度変動を0.001℃以下)にするための制御方法をモデル実験と数値解析で検討した。また,ふく射加熱による漏度上昇速度を目標値に従って亦化させる制御技術を検討した。 1.温度制御の限界評価:理論的な検討により,原因がわかる外乱についてステップ応答モデルを使ったモデル予測制御法により外乱温度変動の0.1%(外乱温度変動2℃の環境にて対象物の温度変動を0.002℃),マルチゾーン・フィードバック制御により制御なし外乱温度変動の1%にできることを示し,制御対象に応じた最適制御条件(制御周期,理想とする応答特性など)を明らかにした。また,今回開発したモデル予測制御法では予測モデルの精度誤差や温度モニターの計測誤差が制御の限界になることを示した。 2.熱制御技術開発:2次元熱伝導系を対象にしたヒータ加熱制御実験にて,ネットワーク予測モデルを使ったモデル予測制御法により外乱温度変動の5%(外乱温度変動2℃の環境にて対象物の温度変動を0.1℃)にでき,理論結果と同程度であることを示した。しかし,予測モデルの精度誤差や温度モニターの計測誤差のため,今の実験装置ではこれが制御の限界であることがわかった。また,ふく射加熱による温度上昇速度の制御技術にっいて,学習制御により目標温度上昇速度の3%精度で制御できることを示した。さらに0.1sの制御遅れや0.5℃の温度モニターの計測誤差が10%もの誤差を生じる原因になることを示した。以上のように,高精度温度制御技術を各種分野で適用できるように,温度制御因子と温度変動との定量的関係や,制御の高精度化のための一般的な方法をまとめた。
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