研究概要 |
本研究は,鋳物産業を活性化する新技術として,鋳砂に水分を加え,凍結させることにより砂型を形成する「凍結鋳型鋳造法」に関する技術を確立することを目的としている. 本年度は,下記に関して研究を行った. (1)鋳砂の凍結現象に関する実験および数値解析の精査・検証 砂型中に低温空気を流動させた場合の水分の凍結挙動についての実験および数値解析について精査し,凍結機構や成形性について検証した.冷却空気温度,空気流速,砂充填層高さ,含有水分量などの諸因子を変化させて,砂層内の温度変化,凍結完了時間,圧力損失に与える影響について詳細に検討した.その結果,諸因子の効果を考慮した無次元数を導入して,実機の計画時に非常に有用な凍結時間に関する無次元整理式を算出した.また,考案した数値解析モデルをもちいて各種条件における実験結果と比較検討し,その有用性を明らかにした. (2)鋳造過程における凍結鋳型内の熱移動と凝固解析 低温空気通風により形成された凍結鋳型に低融点溶融金属を注ぎ,熱および物質移動現象を検討した。砂型内および金属内に熱電対を挿入し温度を測定し,砂型内の熱移動の検討を行った.凍結砂型の各条件における鋳物内の温度変化について明らかにし,砂型内の水蒸気の移動に関しても観察を行った. (3)凍結鋳型鋳造法に関する最適条件の検討と報告書の作成 鋳型作成などの諸条件を総合的に検討し,本研究が提案する凍結鋳型鋳造法が鋳物産業の新たな技術となるように最適な条件を明らかにし,必要知見を報告書にまとめた.
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