研究概要 |
本研究では,高温高圧雰囲気に噴射した多成分燃料噴霧内の蒸気・液滴濃度分布を分離・定量的に計測できる技術を開発し,その技術をディーゼル,ガソリンなど多成分燃焼噴霧に適用することにより,噴霧内沸点の異なる成分の蒸発特性および噴霧の混合気形成機構を明らかにすることを目的とする。平成19年度には高温高圧定容容器を設計・製作した。また光源,CCDカメラ,噴射装置などを整備し,噴霧撮影に必要な二波長レーザ吸収散乱法の光学系の立ち上げ,実験を行った。 (1)既存のNd:YAGレーザ(紫外光266nm、355nmと可視光532nm)を利用し、試料燃料に吸収を示す波長と吸収を示さない波長を同時に発振できるようにレーザの調整、DIフィルタおよび光学部品の交換などを行う上で、噴霧の撮影に必要な二波長レーザ吸収散乱法の光学系を立ち上げた。 (2)高温高圧雰囲気中に噴射し、二波長レーザ吸収散乱法で撮影を行うため,高温高圧定容容器を設計・製作した。 (3)濃度分布の解析に必要な画像解析ソフト・IPLab3.7を購入した。 (4)各試験燃料のモル吸光係数および熱物性値の温度依存性、圧力依存性を考慮した、高温高圧雰囲気に噴射した多成分燃料噴霧の二波長画像から蒸気相・液相濃度分布をアーベル変換による解析プログラムを構築した。 (5)上述の(4)で構築したプログラムおよび(3)で購入したソフトを用い、測定した噴霧内の液滴密度および蒸気濃度分布の定量的な解析を行った。 (6)以上の結果をまとめ、SAE国際会議において発表し、Combustion and Technologyなどに投稿した。
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