研究概要 |
つぎの3種類の研究を行った. 1)実機ディーゼルエンジンによる異常噴射現象の発生条件 噴射系におけるDMEの供給圧を変化させてディーゼルエンジンを運転しどのような条件で気泡発生が生ずるかを調査した.噴射装置内の圧力と温度の測定を行い飽和蒸気圧以下の圧力になると異常噴射が起こる可能性が示された. 2)計算モデルによるDME燃料エンジンの異常噴射現象の解明 計算モデルの本質は、燃料の圧縮性を考慮した1次元非定常流である.モデル開発のポイントは境界条件である.特に、デリバリーバルブの開弁条件を決めるバルブの運動方程式とインジェクタ針弁の運動方程式の取り扱いに新提案を行ない,実験結果を合理的に説明できるモデルが完成した. 3)噴射系のモデル実験 異常噴射の現象をより厳密に理解するために、噴射系を模擬した流路を製作した.はじめに現実の噴射系と遊離しない流路の条件を決めた.とくに実機の噴射系とモデルとの寸法比、レイノルズ数を対応させ、流路内圧力および温度の測定値から蒸発特性をどのようなパラメータで表現すれば、実験結果の総合的説明ができるかに対する考察を行なったが,必ずしも満足いく結果ではない.そこで、この実験に対する計算モデルを構築し,その計算値と比較考察すると、DMEの過熱液の存在が重要であることが分かった.そこで,気泡の発生が可視化できる装置を製作し,実験を行なった.成果はまだ体系化できていないが圧力の測定値と合わせて考察すると,気泡の発生条件を決めるパラメータを明らかにできそうである.
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