研究概要 |
2006年度は,試験板一氷界面での氷の剥離挙動からせん断応力(単位面積当たりの氷結力)と試薬により試験板表面の濡れ角を,その材質や表面状態を変えてそれぞれ測定された.濡れ角から表面エネルギーが計算され,せん断仕事と付着エネルギーがせん断応力と表面エネルギーからそれぞれ算出された.そして,固体表面上での氷の付着のメカニズムを解明するために,氷の付着に対する伝熱現象及び界面現象の寄与度を検討した.その結果,現状では以下の結論が得られた. 1.氷の冷却面表面からの剥離過程を解析するために,Maxwellモデルが提案された. 2.氷の剥離過程を2つのタイプに分類できることを示し,その判断基準がち。t_<max>/τ<1:TypeA(弾性特性),t_<max>/τ>1:TypeB(粘弾性特性)であることを示した.但し,τ:緩和時間,t_<max>:最大せん断力到達時間. 3.TypeBの最大変位量は概ねTypeAのそれより大きい. 4.試験板への氷の付着力(氷結力)は試験板の表面エネルギーに強く依存する. 5.せん断応力はプラズマ照射や酸化膜除去により増加し,UV照射により減少する. 6.銅の場合,プラズマ・UV照射や酸化膜除去によってもほとんどせん断仕事は変化しない.一方,ガラス,塩ビの場合,プラズマ照射によりせん断仕事は著しく増加し,UV照射により減少する. 7.付着エネルギーは表面エネルギーに依存する. 8.せん断付着仕事に対する付着エネルギー(界面現象)の寄与度の定性的傾向を明らかにした.
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