研究概要 |
弾性体,熱伝導場あるいは流れ場などの連続体形状を設計対象にした形状最適化問題は,機械構造物を設計する上で重要な問題である.筆者らが行ってきたこれまでの研究対象は、いずれも弾性・伝熱・流れ場が連成しない基本的な問題に対する検討であった. 本研究の目的は,実用化に向けた連成場の形状設計システムを開発することである.本年度は,主に,次の1.熱伝導場および熱弾性場において熱伝導率の温度依存性を考慮した形状最適化解析,2.流体・構造連成問題への予備研究を行った. 1.熱伝導率の温度依存性を考慮した熱伝導場および熱弾性場の形状最適化 熱伝導場の部分境界において放熱量を最大化する,あるいは熱伝導場の部分境界における温度分布が目標の温度分布になるような形状を同定する形状決定問題に対して,熱伝導率の温度依存性を考慮した形状最適化問題の解法を提案した.はじめに問題を定式化し,随伴変数法を用いて形状修正の感度となる形状勾配関数を理論的に導出した.その形状勾配関数を評価するための解析アルゴリズムを提案してプログラム開発を行い,解析例から提示した解法の妥当性を確認した.この結果を踏まえて,熱伝導場と弾性場を連成させた熱弾性場の部分境界において,熱変位分布が目標の温度分布になるような形状を形状同定問題に対して,熱伝導率の温度依存性を考慮した問題の定式化,形状修正のための感度関数の理論的導出,数値解析により手法の妥当性を検討した. 2.流体・構造連成問題への予備研究 今後,流体と構造を連成させた形状最適化問題に取り組むための予備的研究として,一様粘性流体中に置かれた孤立剛体に対して,抵抗力を最小化,あるいは揚力を最大化する剛体形状最適化について,問題の定式化、形状修正のための感度関数の理論的導出,数値解析により手法の妥当性を検討した.
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