研究概要 |
弾性体,熱伝導場あるいは流れ場などの連続体形状を設計対象にした形状最適化問題は,機械構造物を設計する上で重要な問題である.筆者らが行ってきたこれまでの研究対象は,いずれも弾性・伝熱・流れ場が連成しない基本的な問題に対する検討であった. 本研究の目的は,実用化に向けた連成場の形状設計システムを開発することである.本年度は,主に,次の3項目に関する検討を行い,また定常熱対流場の形状最適化に関する研究成果を国際会議にて発表した. 1. 定常常熱弾性場における三次元形状最適化:伝熱場と弾性場を連成させた熱弾性場の部分境界における熱変形分布が,目標とする熱変形分布に一致するように(熱変形をコントロールするように)形状を決定する問題に対して,三次元問題に対するプログラム開発を行い,解析した数値例から解法の妥当性を示した. 2. 多目的最適問題への予備研究:予備的な研究として,連成場でない粘性流れ場問題を取り上げ,一様粘性流体中に置かれた孤立剛体に対して,抗力最小化および揚力最大化を同時に満たす多目的形状最適化の解法について検討した.基本的な二次元問題に対するプログラムを開発して,解析例から提案した手法の妥当性を示した. 3. 非定常問題への拡張:当該研究に関するこれまでの多くの研究は定常場に限られてきた.本研究を非定常場問題への拡張を計画しているため,基本的な問題として非定常粘性流れ場において圧力損失を最小化する形状最適化問題の解法について検討した.二次元プロクラムを開発して,解析例から解法の妥当性を示した.
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