研究概要 |
(1)接続をベースにした従来の周期解導出法と,重ね合わせをベースにした擬フィードバック形式による導出法とがいかなる関係を有するのかを再考し,これらの表現形式による周期解の成立条件が,ある線形写像で互いに写り合うことを証明した. 上記の結果に基づき,申請者がこれまでの研究で得ていた,周期解上の衝突速度の無限の積和演算による計算法に代わる,有限回の演算のみによる効率的な計算法を提案した.この計算法を適用して,あらゆる周期解を,陰的に規定される有限個の衝突時刻のみの関数として表せる大域的な陽表示式が導出できた.以上の解析結果により,周期解を実現する切り換え時刻の効率的な近似計算法を確立する上で必須である周期解の摂動に関する変分方程式を,擬フィードバック形式による大域表現をベースに導出するための重要な手掛かりが得られた. (2)モードによって状態が切り換わるシステムの工学的応用の一つとして,歩行ロボットの動的歩行パターン生成問題の研究動向を調査した.特に,近年,分岐理論やカオス理論の観点からも注目されている受動歩行の基本モデルについて,本研究で構築を目指す解析法の適用可能性について検討した.これまでに提案されている2足歩行ロボットの制御方式の中で,重力に起因する非線形性を,床面へのけり力を制御することで補償する歩行ロボットの線形倒立振子モデルは,切り換え時刻を含めて厳密に解ける区分線形システムとみなせる.したがって,このモデルに対しては,本研究で解明を進める擬フィードバック形式に基づく解析法を用いて,厳密な理論解析が可能であることがわかった.
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