本研究は円柱近傍の流れ場とその近傍に設置された構造物の相互作用により発生する不安定振動の発生メカニズムを実験を主体として検討している。本年度は以下の実験を行いデータ収集と解析を行った。 円柱とその近傍に配置した弾性棒に風洞を用いて空気を流し、熱線風速計と非接触変位計により振動のデータを収集した。これにより、成長過程と定常状態における振動データを得た。風速と弾性棒の位置による振動の特徴を明らかにした。空気流れに対し振動による振れまわりの方向は円柱の右側と左側は鏡対象となり、円柱の上流側と下流側では振れまわりの方向が逆になる結果を得た。さらに、円柱の下流側では弾性棒の振れまわり振幅は上流側よりも大きくなる結果となり特に上流側から135°の位置で最も大きな振動が発生している。弾性棒の振れまわり振動の振動数は弾性棒の1次の固有振動数であった。振れまわり振幅は、風速の増加に伴い大きなものとなった。これらの振動はレイノルズ数とストローハル数よりカルマン渦によるものではないことを確認した。 円柱近傍の流れ場をドライアイスを用いて可視化し高速度カメラを用いてその挙動を計測した。弾性棒の振動と流れ場を観察し、弾性棒の振動と空気の流れの変動が同周期であることが観察された。さらに弾性棒や円柱の回りにカルマン渦の発生はみられなかった。 上流側に弾性棒、下流側に円柱を配置し、円柱の振動により上流側の弾性棒の挙動に与える影響についも検討している。
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