研究概要 |
衝撃による部材変形を局在化させるアクティブ制御の実現を目指し,(1)衝撃を与える物体に推力を与えるアクチュエータを配し,これを適切に制御することにより物体に瞬時に部材変形を与える制御方法と,(2)衝撃を与えられる物体側にアクチュエータを挿入した衝撃のアクティブ制御を検討した.まず,(1)では,サーボプレスへの応用としてこの制御問題をとらえ,衝突する物体間に適切な接触力目標値を与え,状態フィードバックによる最適制御の観点から検討した.次に,(2)では衝撃を与える物体の変形や加速度の大きさに制約を課し,衝突する物体間に与えるべき接触力目標値の最適化を施した.これにより,一方的に衝撃を与えられる部材に変形を与えることができ,局在化が可能となった.(1),(2)ともに制御実験を行った結果,理想的な接触力目標値を瞬時に実現する制御方法として,初期値補償を行うためのラィードフォワード制御とフィードバック制御を組み合わせた2自由度制御を採用した.これにより目標値到達性能を向上させ,過渡的な応答を制御することができた.さらに(2)に関しては,自動車前面衝突時における乗員保護制御問題へ適用した場合を検討した.すなわち,乗員膝-インパネ間の接触力目標値の設定方法について検討し,大腿骨に加わる荷重を低減すると同時に,乗員の腰移動量,腰加速度を抑制するアクティブ制御の有効性をマルチボディダイナミクス解析により構築された三次元モデルのシミュレーションで検証した.
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