研究概要 |
1.構築するシステムの要素技術であるスマート構造における複合領域最適化手法を構築した.最適設計問題には,センサー/アクチュエータを含む構造系および制御系それぞれの特性を統括したモデルによる閉ループ系の性能を目的関数および制約条件として導入した.制御系は,伝達関数行列のH_2およびH_∞ノルムを指標として設計を行い,システムの非線形性および特性変動に対しては,ロバスト性および適応性を有する制御器を採用し,これに対応した複合領域設計法を構築した. 2.エネルギー伝送およびレーザー制御を効率的に行う微小光学系を構成し,レーザーと太陽パネルによるエネルギー伝送効率および遠隔制御による制御対象の応答性を解析および実験により評価した.レーザーによる遠隔制御は,制御用の緑色レーザー光を周波数変調によりデジタル信号として制御対象に照射することにより行われ,所望の速応性および安定性を達成するための制御則について検討した. 3.複合領域設計に基づき,精密位置決め機構を搭載する移動体としてのマイクロ移動機構を開発した.移動体のアクチュエータとしてDCモーターを用い,パルス化されたレーザーを駆動指令として移動体に照射することにより,精密位置決めを行う.ここで,エネルギー伝送のための太陽パネル,レーザー制御信号受信用のフォトトランジスタおよび駆動回路が制御対象に搭載されている.マイクロ移動機構のスケールモデルを作成し,レーザー追尾システムおよびレーザーエネルギー伝送システムにおける所望の追従精度および発電量を達成するよう,機構および制御系の設計を行い,達成される性能を基礎実験により評価した.
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