研究概要 |
近年,配管系の耐震設計の合理化のために,支持装置自体にエネルギ吸収能力も持たせたいわゆる高減衰サポートが開発され,実配管に適用が開始され始めている,高減衰サポートには,金属の塑性変形や高粘性流体によるエネルギ吸収を利用しているものがあるが,このような弾塑性サポートでは,エネルギを吸収できる長所がある反面,そのエネルギが熱に変換されるため支持装置の温度上昇を生じることになり,過渡の温度上昇が生じた場合はそれによる支持装置の機能喪失や構造健全性が損なわれる可能性があり,結果として配管系の損壊が生じることが懸念されている.従って,弾塑性サポートで支持された配管系の耐震設計では,配管系のみでなく支持装置自身の構造・機能健全性の両者を考慮した設計が不可欠である.しかし,従来の耐震設計手法では,これら両者の構造健全性を同時に考慮した手法はなく,また,弾塑性サポートの容量や設置位置の決定については,熟練技術者の経験と単純な評価に依存しているのが現状である.本研究では,地震防災を目的として,地震荷重を受けるこれらの弾塑性サポートで支持された大規模配管系において,配管系の健全性と支持構造物の健全性の両者を同時に確保できる最適な耐震設計技術の構築を目的とするものである. 平成20年度は,H19年度の研究成果を基に,実プラントにおける配管系への適用化技術の構築を行うことを目標として実施し,3次元配管モデルの耐震設計モデル化,効率的数値シミュレーション手法の検討,数値シミュレーションプログラミング,パラメータスタディ,解析手法の妥当性評価と最適設計手法の有効性評価および実用化への課題のまとめを行った.
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