研究概要 |
2年目の今年度は以下のような研究を行った. (1)歩道橋用制振装置のばね材と減衰材を兼ねるMn-Cu合金ばねの振動による繰り返し変形がその減衰特性に及ぼす影響を調べるため昨年度に引き続き強制振動試験を行った.Mn-Cu合金ばねの変形量が最も小さい場合と最も大きい場合について100万回の繰り返し変形を与えた結果,繰り返し数が増加するにつれ減衰比は20%程度低下するが,20万回を越えると,減衰比は安定する傾向にあることが明らかになった.ばね変形が大振幅領域では約3%程度の減衰比が得られる見通しを得た.本結果を次ページの1番目の論文にて発表を行った. (2)歩道橋用制振装置を設計するためには,歩道橋の実際の振動特性を把握する必要がある.本研究では,まず,歩道橋の振動特性を把握するための手法を確立するために歩道橋振動計測を行った.歩行者振動,自由振動,交通振動の計測のほかに小型起振機を用いた振動試験を行い,歩道橋の振動特性を精密に把握することができた.特に,小型起振機を用いると歩道橋の振動特性を精度よく把握できることを確認した.さらに,振動計測により得られた歩道橋振動特性を用いて,本研究で提案しているMn-Cu合金ばねを用いた制振装置の設計方法を提案するとともに,試設計した制振装置を用いると計測対象の歩道橋の地震応答を大幅に低減できることをシミュレーションにより確認した.これらの成果をページの2,3番目の論文にて発表を行った. (3)歩道橋用制振装置の制振性能および制振性能評価のための振動解析手法の妥当性を確証するための模型振動試験を実施するため,歩道橋模型およびMn-Cu合金ばねを用いた制振装置模型を設計,製作した.また,振動模型の有効性を確認するために,振動試験を実施した.その結果,提案した制振装置の制振性能を確認した.これらの成果をページの4番目の論文にて発表を行った.
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