平成18年度は以下の成果を得た。 (1)システム記述法の開発 本研究では、機械系特有の多項式表現と三角関数表現の非線形システムのクラスに対して、多項式表現の部分はそのままに、しかも、三角関数表現部をsector nonlinearityの考え方でファジィモデル化することを提案し、後件部に多項式モデルを持つ多項式ファジィモデルを開発した。この多項式ファジィモデルは従来のファジィモデルに比べて一般化された表現であり、しかも、少ない規則で複雑な非線形特性を厳密に表現可能であるかことを示した。 (2)制御手法の開発 (1)で開発したシステム記述に有効な制御手法を開発した。(1)で開発した多項式ファジィモデルは従来のファジィモデルよりも汎用的な表現となっているが、設計条件が複雑になり、線形行列不等式表現には帰着せず、凸計画問題として数値的な可解問題に転換できないという大きな問題が生じた。そこで、Sum of Squares(SOS)の概念を用いて、多項式ファジィモデルに対する設計条件を導出し、SOSTOOLSによって制御系を設計する手法を提案した。 (3)飛行ロボットの開発と実験システムの構築 サイクロジャイロ翼と研究代表者らが提案した揺動迎角機構を組み合わせた飛行ロボットの開発を行った。また、飛行ロボットの翼型として様々なものを実験的に評価した結果、曲面翼がモータへの負荷が少なく、大きな上昇力も得られることを明らかにした。さらに、飛行ロボット本体の高回転中のゆがみを補正する2つの改善も行った。フリーで飛行を実現する前段階として、位置の3自由度を落とし、姿勢の3自由度のみを制御するための1点支持型の実験装置の開発を行った。また、姿勢安定化制御のためのセンサの選定を行った。
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