脚型でありながら車輪型としても使える移動ロボヅトを新規に提案し運動機構を詳細に設計し製作した。実際に、互いに逆方向に伸びる腕の先端に1つの膝関節を備えて脚を揺動させるのみならず、膝関節を配置するリムの外周に一周り大きな輪を配置し、これを車輪として活用可能な股関節を四隅に備える歩行ロボットの運動機構を追求し、詳細に設計した。また、モータの動力を股関節と膝関節に確実に伝達するための多重軸駆動機構の仕様を外注し、試作機を完成させた。すなわち、セレーション加工を採用して左前後の股関節回転をまとめて1個のモータで、同様に右前後の股関節回転を1個のモータで、また、左脚姿勢をまとめて2個のモータで、同様に右脚姿勢を2個のモータで、合計6個のモータで前後進、左右操舵、その場旋回、の全てを可能にする運動機構を製作した。さらに、車輪型移動時の脚運動の遊脚姿勢をシミュレーションによって視覚的に明らかにし、脚を取り外しあるいは機械要素を付加することなしに制御アルゴリズムを切替えるだけで脚型にも車輪型にも兼用可能なことを示した。 歩行時の大股、標準、小股の値は、脚姿勢制御パターンや路面の傾き角の違いによって異なり脚歩行や車輪走行のシミュレーションを難しくするが、想定できる脚姿勢パターンを定式化し、路面傾き角を変数として扱い、脚型から車輪型に、あるいはその逆になめらかに遷移可能なパターンを得るための最適化法を明らかにした。この他、歩行いすの駆動に要するエネルギーを最小限にする目的で、いすを指定された高さに維持する制御変数の算出法を明らかにした。ここでは、負荷の集中による一部のモータの過熱を避けるため全てのモータのペイロードを等しくする条件下で全モータの駆動トルク和を最小にした。
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