研究課題
基盤研究(C)
従来の安全システムは、機械と人間を空間的・時間的に分離するという概念を基本としているが、今後ロボットが社会や家庭などに進出してくるに伴い、ロボットと人間を空間的・時間的に分離することは受容し難い条件となる。人間は、痛みを感じ利用する機能を有していることから、怪我や事故から身を守る行動ができると考えられる。そこで本研究は、機械に人間の痛みを模擬した機構を実装することにより、擬人化により安全・安心な機械系を実現することを目的とする。痛みには様々な分類があり、生理学的にも異なるメカニズムとなることから、本研究では人間と機械の物理干渉により生ずる代表的な痛みである「表面痛」を扱うこととし、人間の痛みに関する工学的なモデルを構築し、人間-機械系の安全制御への応用を試みる。平成18年には、以下の研究課題に取り組み、成果が得られた。1.痛みの工学的モデルの構築痛みの定量化を目指して、痛みの印加精度、印加ポイントを正確に再現でき、各部位での痛みの程度を比較できる計測装置を新たに設計・製作した。本計測装置を用いて上肢各部位による痛み特性を計測し、主観的な「痛み」を表現するモデルとして、衝突時のインパルス的な痛みおよびその持続を表現できる2質点モデルを構築した。2.生態防御機能の実現2自由度DDアームロボットに痛みモデルを実装し、痛み回避運動のシミュレーションを行い、提案する痛みモデルの有効性を確認した。3.痛みセンサの原理検証人間の皮膚特性と痛みの関係を明らかにするため、ウレタンやシリコン等の材料を用い皮膚特性を模擬し、最大応力がどの部分に集中するかをFEM解析により明らかにした。その結果、応力が皮下組織上面に集中していることがわかり、痛みの発生と持続に関連していることが判明した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
ロボティクス・メカトロニクス講演会'06講演論文集,東京
ページ: 2P2-B31
Proc. of SICE-ICASE International Joint Conference 2006
ページ: 2891-2894
第25回計測自動制御学会九州支部学術講演会
ページ: 147-150