研究概要 |
前年度において,懸垂物の振動抑制,及びジョイスティックを利用した懸垂物の行き過ぎのない搬送システムが実現された。当研究課題最終年度である平成20年度は,オペレータにとって操縦しやすい懸垂物搬送のインタフェース開発を行った。 このため,まずクレーン上部に下方に向けてCCDカメラを取り付け,これをモニター上で見ながら懸垂物の速度制御が可能なインタフェースを実現した。ただし,このシステムでは懸垂物を静止させる位置決め点の指定が難しいこと,搬送速度を一定に保つことが難しいなどの点が明らかとなった。そこで,入力方式を変更し,懸垂物の進行方向を真上から映し出すCCDカメラ画面上で,懸垂物を経由させたい点を画面を見ながら次々とクリックしていくという方式を取るシステムを開発した。その際,クリック点間毎にリアルタイムで目標の速度軌道を生成することとし,また,クリック点間の移動速度は,クリック点間の距離の長さに比例して決定することとした。更に,加減速には加速度の時間微分が連続関数となる4次関数を利用した。一方,位置決め点での位置精度を向上させるため,画像上のクリック点をクレーン動作に正確に反映させるためのキャリブレーションを行った。画像上に現れるカメラ取り付け点やレンズのゆがみの補正のみならず,クレーン機構の有する誤差も位置決め精度に大きく影響することから,基礎実験を繰り返し補正を行った。 この結果,開発されたシステムを利用し,障害物の多数存在する環境下で,懸垂物の搬送実験を操縦が未経験の学生に行ってもらった。その結果,位置決め精度3mm程度で,簡単に搬送することができ,本システムの有効性が検証された。
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