研究概要 |
本研究は,高齢者が楽しく行動すると共に自然に運動能力が維持・増進できることを目指し,トレーニング機能を備えた電動車の制御システムを設計することを目的に進めてきており,本年度に以下の研究成果が得られた。 ・ 「等価入力外乱」制御手法による操舵制御系設計:本研究では,運転の安全性を保証するために,申請者の提案した「等価入力外乱」という新しい制御手法を用いて,操舵を妨げる様々な外乱を抑える操舵制御系を構築し,従来の制御手法と比較検討することによりその有効性を検証した。 ・ すべり防止システムの検討:タイヤと路面との摩擦変動により電動カート搭乗者に危害を加えることがある。このようなことを未然に防ぐために,本研究では「等価入力外乱」手法を用いて摩擦係数の推定を行った。シミュレーション結果より,ほかの推定手法に比べて,本手法は高い推定精度が得られることがわかった。 ・ ペダル負荷自動調整システムの開発:高齢者の安全を保証しながら,トレーニングを行うために,まず,主観運動強度とカルボーネン法より現在の搭乗者に加えられる最大負荷を決め,次に,最大負荷と最大アシストの間における任意の負荷またはアシストに対しても電動カート制御システムの安定性が保証されるように,動的並列分散補償手法を用いて制御系を構築した。また,走行実験によりその有効性を検証した。 ・ ロバスト制御系の設計手法の検討:電動カートと人間操舵を含めたシステムは無駄時間システムとなる。操縦システムの安定性を保証するために,フリーウィティング法と積分不等式手法とを融合し,一定範囲内で変動するむだ時間に対してロバスト安定となる制御系設計法を開発した。 ・ 高齢者による走行実験:八王子市の高齢者ボランティアを募集し,3回に分けて,主観運動強度と心拍数との関係の測定実験,各種負荷またはアシストにおける走行実験を行い,実験参加者を対象にアンケート調査を行った。
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