研究概要 |
本研究は,高齢者が楽しく行動すると共に自然に運動能力が維持・増進できることを目指し,トレーニング機能を備えた電動車の制御システムを設計することを目的に進めてきており,本年度に以下の研究成果が得られた。 ・路面摩擦係数推定:等価入力外乱手法を適用した路面摩擦係数推定法を開発した。また,シミュレーションによりその有効性を検証し,本手法の推定メカニズムが簡単にもかかわらず,非常に安定した推定結果が得られることがわかった。 ・ペダル負荷の自動無段調整システム:日本人高齢者の身体特徴を加味した最大ペダル負荷決定法により決められた最大負荷範囲内において,動的並列分散補償法に基づきペダル負荷の自動無段調整システムを設計し,電動カートに実装した。ペダル負荷の自動無段調整システムについて,地元高齢者ボランティアの協力のもとで走行実験を行った。また,走行実験参加者に対して,アンケート調査を行い,開発したペダル負荷自動調整機能つきの電動車について,高齢者の視点から総合的に評価を行った。 ・眼球運動による疲労度測定:高齢者の疲労度を測定する手法が確定されていないのは現状である。本研究では,瞳孔と眼球運動に注目し,それと疲労度との関連を理論的・実験的に調べた。実験データをもとに,新しい疲労度評価法を提案した。 ・構造物制振制御:本研究で提案した等価入力外乱手法を構造物の制振制御に適用し,従来の手法より高い制振性能が得られることが確認でき,等価入力外乱手法の新たな応用分野を開拓した。
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