研究概要 |
鋳物等における比較的小径な深穴の直径および傾き角度を非接触で,かつ簡便な方法で高精度に計測する装置は見あたらない.本研究は、壁面に照射した光の散乱光を2次元PSD(半導体位置検出素子)で受ける構成で,深穴の内径および鉛直度を非接触で高精度に計測できる簡単な構造の装置を提案し,有効性を明らかにすることを目的とする. 平成19年度は,赤外レーザの光源を光ファイバーを通して計測壁面に照射し,その散乱光をレンズで集光して2次元PSDで受ける構造の深穴径計測用の近距離計測センサを提案し,試作・実験から以下のことを明らかにした. (1)センサから計測面までの距離Lが,0.4mm≦L≦2.6mmの範囲において±10μmの精度で計測できる. (2)2次元PSDを覆う被膜の屈折率を考慮することにより,理論と実験が一致する. (3)本システムを利用することで深孔の内径および鉛直度を計測することが可能である. (4)計測面の表面粗さが赤外レーザの波長に比べて約1.5倍以上であれば,距離を正確に計測することができる. (5)散乱光を利用しているため,計測面の角度に影響されず,距離を正確に計測することができる. (6)2次元PSDの位置をプローブ根元側に配置すると,より小径のプローブが実現できる.
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