研究概要 |
日本の金型産業の優位性を維持すると同時に,さらなる飛躍を目指すためには,金型加工技術において今以上に精度,品質,納期について技術的優位を保つことが必須であると考えられる.そこで当該研究では,金型加工においてCAMからCNC装置までを統合し,加工情報の生成から加工中の誤差補正までNC加工シミュレーションに基づいて制御することにより,加工精度1ミクロンに対応できる高速高精度加工用制御システムの構築を目的としている. 本年度は以下の3項目について開発を行った. 1.形状から高精度なサーボデータを直接生成する形状補間処理の構築 加工対象形状から高精度な指令データであるサーボデータを直接生成する形状補間処理に,スプライン曲面における曲率を考慮した速度制御処理と要素間の許容減速速度計算処理機能を追加開発した.そして,実機による評価実験を行った結果,最新のCNC装置が持つ機能より高精度に機械制御できていることが明らかになった. 2.サーボデータに基づくNC加工シミュレーションシステムの構築 NC加工シミュレーションにより得られた除去体積をもとに,切削力と工具のたわみ,および工具摩耗を予測する機能を開発し,加工実験により検証を行った.その結果,精度に問題が残るが,たわみや工具摩耗を予測できることが明らかになった. 3.評価用CNC加工システムの構築 当該研究で開発されたシステムを評価するには,実際にCNC工作機械を用いて検証を行う必要がある.そのため,測定に用いるCNC工作機械のCNC装置に,直接サーボデータを入力するインターフェイス,CNCの指令軌跡を測定するインターフェイスを構築し,CNC工作機械に評価用システムを装備した.そして,実際に測定実験を行い,評価検証できることを確認した.また,最新のCNCが持つ先読み高精度加工機能と比較するため,この機能を修理・調整作業により利用可能とした.
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