研究概要 |
日本の金型産業の優位性を維持すると同時にさらなる飛躍を目指すため,金型加工において加工情報の生成から加工中の誤差補正までNC加工シミュレーションに基づいて制御することにより,高速高精度加工が可能なシステムの構築を目的としている.本年度は,最終年度として形状補間機能の改良を行い,最先端CNC装置と精度比較を行った.具体的には以下の事を実施し,提案するシステムの有効性と実用性を確認することができた. 1. 形状補間処理の構築と改良 形状補間において基本となるオフセットデータ生成時の精度劣化を改良するため,オフセット形状から工具経路を生成する際に,基形状の幾何データも参照する手法を構築した. 2. ブルノーズ工具への対応 現在対応している工具形状がフラットとボールエンドミルのみであったため,近年よく利用されるブルノーズ(コーナR)に対応させる処理を開発した.しかし,計算式が複雑になり処理時間と処理精度に問題が生じ,開発システムに組み込むに至らなかった. 3. 最先端CNCの高速高精度機能との比較検証 工作機械メーカ(CNCメーカ)は日々,高速高精度加工用の機能開発を行っている.そこで本研究で開発したシステムと最新の高速高精度機能を有するマシニングセンターを用いて加工実験を行い,精度を測定し比較した.その結果,加工時間が2パーセント程度伸びる一方でコーナでのエッジの再現や,エッジでの精度,形状精度の向上が確認できた.
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