研究概要 |
本年度は、本研究の最終年度であり、下記に示す当初の目標の達成度をここに評価する。 1. スイッチング時間(ターンオン及びターンオフ時間):20ns以下を実現する。(Si-IGBTの1/2) 2. 逆バイアス安全動作領域(RBSOA):500A/cm2までの出力電流密度で素子動作の信頼性を確保する。(Si-IGBTの2倍) 3. 負荷短絡耐量:30μs間の負荷短絡状態で3000A/cm2の電流値での非破壊を保証する。(Si-IGBTの4倍) まず目標1については、ソース長を減少させ内部の寄生抵抗を減少させることによって、スイッチング速度が改善された。このときターンオン時間30ns、ターンオフ時間は80nsであり当初の目標は達成できなかったものの、同等の電圧・電流定格のSi-IGBTがターンオン時間400ns、ターンオフ時間300nsであり、Si-IGBTよりも高速化できた。 次に目標2については、DC-DCコンバータの実機動作を、周波数100kHz,電源電圧400V,電流値4.3A,デューティー比50%の条件で行い安定な動作を確認できた。この際の電流値4.3Aは電流密度値に換算し400A/cm2であり、目標値500A/cm2をほぼ達成できたと言って良い。 また目標3については、パルス幅53μsの条件の下での負荷短絡動作試験を実施し、3900A/cm2の電流密度値を遮断することに成功しており、目標を大幅にクリアーできた。 以上より本研究では、当初の目標をほぼ達成できた。本結果はSiC材料を用いた超低損失パワーデバイスの実用化において、意義のあるものである。
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