研究概要 |
直流配電システムにおける二次電池や電気二重層キャパシタなどの電力貯蔵装置への適用を想定した高効率な絶縁形フルブリッジ双方向DC/DCコンバータの基礎技術の確立を目的として,H18年度は回路シミュレーションによる制御法の検討と1kW級の試作器の製作を行った。 比較的シンプルな回路構成で大容量化に適していると考えられる,低圧側電流形コンバータと高圧側電圧形コンバータを高周波トランスで結合した絶縁フルブリッジ形の回路方式を採用し,出力をPWM制御するとともに,アクティブクランプ回路を付加することによって,転流時に変圧器の漏れインダクタンスによって発生する過電圧抑制とソフトスイッチング動作を実現する制御法について検討した。 回路シミュレーションにより,提案する制御法によって,二次電池等の電力貯蔵装置への充放電を行う昇降圧双方向の電力制御において,すべての素子においてソフトスイッチング動作が可能であることを確認した。その成果は電気学会の研究会などにおいて報告した。 また,回路シミュレーションを用いて1kW級の小型試作器を設計し,その製作を行った。電圧は想定される実機(1MW級)の1/10となる低圧側50V,高圧側200Vとした。スイッチング素子にはIGBTのインテリジェントパワーモジュールを用い,DSPとFPGAによる高速な制御を実現している。試作器の高圧側に直流電源を低圧側に二次電池を接続して二次電池の充放電試験を行い,その基本的な動作を確認できた。損失についても,変換器,高周波トランス,リアクトルなどそれぞれについて評価した。 H19年度は,ソフトスイッチング動作によるコンバータの高効率化をさらにすすめるとともに,太陽電池を有する直流配電模擬システムに試作器を接続し,太陽電池の出力変動補償などの連系試験を行う予定である。
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