研究概要 |
直流配電システムにおける電力貯蔵装置への適用を想定した高効率な絶縁形フルブリッジ双方向DC/DCコンバータの基礎技術の確立を目的として,平成19年度はコンバータの電気二重層キャパシタへの適用を検討した.電気二重層キャパシタは鉛蓄電池に比べて,繰り返し充放電が可能で蓄積エネルギー量が管理しやすいという特長を持つので,直流配電システムに接続された太陽電池等の比較的高速な出力変動補償用の電力貯蔵装置に適している. 検討したDC/DCコンバータは,低圧側電流形コンバータと高圧側電圧形コンバータを高周波トランスで結合した絶縁フルブリッジ形であり,出力をPWM制御するとともに,アクティブクランプ回路を付加することによって転流時に変圧器の漏れインダクタンスによって発生する過電圧の抑制と全素子におけるソフトスイッチング動作を実現している. 電気二重層キャパシタは鉛蓄電池とは異なり,端子電圧がエネルギー貯蔵量に応じて変化するため,それに応じて一定出力を実現するフィードバック制御をまず実現した.また,精度の良い回路シミュレーションを行うため,電気二重層キャパシタの等価回路を充放電実験より導出した. 次に,平成18年に製作した1kW級の装置(定格入力電圧50V,出力電圧200V,電圧は想定している実機の1/10)を用いて,ソフトスイッチング動作の場合とハードスイッチング動作の場合との効率を比較した.その結果,ソフトスイッチングを行うことによって,200W出力・降圧動作において2.35%効率が改善されることがわかった.しかし,全体の効率は83.45%であり,素子や高周波トランスの低損失化がさらに必要であることが明らかになった. これらの成果は,電気学会産業応用部門大会やパワーエレクトロニクス学会の研究会において発表した.
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