研究課題/領域番号 |
18560279
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
今坂 公宣 九州大学, システム情報科学研究院, 助手 (40264072)
|
研究分担者 |
末廣 純也 九州大学, 大学院システム情報科学研究院, 助教授 (70206382)
|
キーワード | カーボンナノチューブガスセンサ / SF_6分解ガス / 電力設備診断 / SF_6ガス絶縁電力機器(GIS) / 誘電泳動インピーダンス計測法 |
研究概要 |
本研究では、社会基盤を支える電力輸送設備の更なる信頼性向上を実現するために、ナノテクノロジーを駆使したSF_6分解ガスの高感度検出によるオフライン・オンライン診断の両方に対応できる小型で低コストなSF_6ガス絶縁電力機器(GIS)監視用カーボンナノチューブ(CNT)ガスセンサを開発することを目的とする。本研究で開発するガスセンサは、GIS内部の部分放電によって発生するSF_6分解ガスを検出することにより外部電磁ノイズの影響を受けないオンライン監視によるトレンド管理・診断やオフライン診断への適用が可能であるなどの特徴がある。 本年度は主に下記のテーマについて実験を行った。得られた主な結果を以下にまとめる。 [1]CNTガスセンサの作製 ・独自に開発した誘電泳動インピーダンス計測法を用いて単層CNTをセンサ用マイクロ電極間に集積し、ガスセンサを作製した。NO2(酸化性ガス)、NH3(還元性ガス)を用いてガスセンサとしての動作確認を行った。その結果、作製したCNTガスセンサはppmオーダのNO2、NH3を検出可能であることがわかった。 ・CNTに吸着したガス分子は、紫外光を照射することにより脱着可能であり、繰り返し使用可能であることを示した。 [2]CNTガスセンサを用いたGIS内における部分放電(PD)検出 ・実規模GISモデルタンクにCNTガスセンサを設置してPDを発生させ、SF_6分解ガスに対するセンサ応答を調べた。その結果、SF_6分解ガスをコンダクタンスの変化として検出可能であることがわかった。 ・一定濃度のSF_6分解ガスに対するセンサ応答信頼性の評価法として、NO2応答によるCNTガスセンサの校正法の有用性を示した。 [3]温度制御によるCNTガスセンサの安定化及び高感度化 ・環境温度の変化によってCNTガスセンサのコンダクタンスが変動し、分解ガス検出の妨げになることが予想される。また、GISタンク内の分解ガスが拡散するため、センサ応答が低下する可能性がある。そこで、CNTガスセンサの安定化及び高感度化について検討した。その結果、センサの動作温度を60-80℃とすることにより、センサの安定化及び高感度化を同時に達成できることがわかった。
|