研究概要 |
ノンストップ自動料金支払システム(ETC : Electronic Toll Collection)は,平成19年1月までに67%程度まで利用率が上昇し,急速な普及に伴って複数のETCレーンを有する料金所も次第に増加傾向にある.このような状況下,料金所付近の電波環境改善対策として種々の電波吸収体が実現されてきたが,ETCの隣接レーン間における電波(5.8GHz,円偏波)の相互干渉を抑制することを目的とした吸収体として,これまでに透明タイプが主に利用されている.しかしながら,透明導電膜を利用した平板構造であることから風の影響を十分に受けるというデメリットを有している.このため,通気性を有し,かつこれまでと同様に安全性を考慮して視認性を有するレーン間用の電波吸収体の実現が必要不可欠な状況にある. そこで本研究では,廃材を利用した損失磁性材料を金属に被覆した円筒棒列を周期的に配置した構造を提案し,視認性,反射減衰量およびシールド量に優れる被覆棒列タイプ電波吸収体の実現を目指して有限積分法を用いた解析的および実験的検討を行った.なお検討では,反射減衰量およびシールド量を向上させるためにバックメタルとして金網を裏打ちし,その効果についても確認した.この結果,ETCで使用される円偏波に対して,隙間を30mmまで広げても反射減衰量において入射角度550まで約-10dB,シールド量においては入射角度30°まで約-25dBの性能が得られることが解析と実験の両面から確認でき,視認性の向上とともに良好な反射減衰量・シールド量が得られる円筒棒列タイプ電波吸収体の実現性を確認することができた.
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