研究概要 |
本研究では競争環境下での連系線設備計画手法の提案している。連系線利用に関しては,経済的な側面と電力系統運用の技術的側面が存在する。経済的な側面は,複数のプレイヤが存在する競争市場において,送電線利用に対して社会厚生を最大化する問題として捉えることができる。一方,電力系統運用の技術的側面から考えると,送電線の熱容量制約,電圧安定度制約,過渡安定度制約,緊急時予備力制約等を同時に考慮し,安全な運転を行えるよう配慮しなければならない。日々の電力系統運用では,これらの制約を満足するため,複数の解析プログラムを利用し熟練の運転者により決定されている。 連系線増設には,これら経済性と技術的側面の両方を満足した解を求めなければならない。これまでの研究では,実系統を対象とする大規模問題に対して,これら両方を満足する解を得る手法は存在していない。これは,特に電力系統解析において,大規模問題の解法に問題があったためである。 平成18年度では,本研究で必要とされる要素技術のうち,以下の研究成果を得ることができた。 (1)マルチエージェントを用いた連系線計画最適化手法を主問題とし,電力系統運用上の制約を副問題として定式化する連系線設備計画問題の提案 エージェントシステムのプロトタイプを作成し,複数の事業者を協調させた最適化手法の定式化を行った。 (2)(1)の副問題として定義される,電力系統解析プログラムで高速に解を求めることができる手法の開発 過渡安定度を考慮した最適潮流計算法プログラムにおいて,過酷な事故を考慮できるようプログラムの改良を行った。これにより,より現実的な条件の下で電力系統の過渡安定度解析を実行できるようになった。
|