研究概要 |
本研究では競争環境下での連系線設備計画手法の提案している。連系線利用に関しては,経済的な側面と電力系統運用の技術的側面が存在する。経済的な側面は,複数のプレイヤが存在する競争市場において,送電線利用に対して社会厚生を最大化する問題として捉えることができる。一方,電力系統運用の技術的側面から考えると,送電線の熱容量制約,電圧安定度制約,過渡安定度制約・緊急時予備力制約等を同時に考慮し・安全な運転を行えるよう配慮しなければならない。日々の電力系統運用では,これらの制約を満足するため,複数の解析プログラムを利用し熟練の運転者により決定されている。 連系線増設には,これら経済性と技術的側面の両方を満足した解を求めなければならない。これまでの研究では,実系統を対象とする大規模問題に対して,これら両方を満足する解を得る手法は存在していない。これは,特に電力系統解析において,大規模問題の解法に問題があったためである。 平成19年度に行った研究は以下の通りである。 ・マルチエージェントによる連系線設備計画最適化手法を実規模の電力市場に適用できるよう,データや規範を収集した。 ・Benders分解法によりエージェントと電力系統解析手法を統合した連系線増設計画プログラムのプロトタイプを作成し,比較的日本の電力系統の特徴を現しているとされる電気学会標準系統(IEEJ WEST30とEAST30)に対して適用した。
|