研究概要 |
電力取引の規制緩和の負の側面として,2003年夏には米国ニューヨーク,英国ロンドンやイタリア全域という世界の大都市で大規模な停電が発生した。安定度を維持したまま競争を促進するためには連系線の増強が必要となるが,送電線の建設には莫大な費用がかかり,託送を行う事業者がその費用を負担することは不可能である。本研究では競争環境下での連系線設備計画手法の提案を行った連系線利用に関しては,経済的な側面と電力系統運用の技術的側面が存在する。経済的な側面は,複数のプレイヤが存在する競争市場において,送電線利用に対して社会厚生を最大化する問題として捉えることができる。 本研究の成果としては,複数の託送が含まれる送電線運用において,安定度を考慮しつつ,その社会厚生を最大化するための手法の提案を行い,プロトタイププログラムを作成し,その有効性を確認することができた。 また,新規に開発したJavaを用いたマルチエージェントシミュレーションシステムを使うことにより,多数のプレイヤが介在する連系線増設計画問題に対して、マルチエージェント技術を利用した最適化を行うことができる。 これらを実用的な計算時間で実現するためには,多数のコンピュータを有機的に結合して,並列に大量の計算を行う必要がある。そのため,グリッドコンピュータ上での並列計算プログラムの実用化についての検討も行った。
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