研究概要 |
1.初年度に開発したハイリスク事象を確実かつ効率的に探索可能な手法をモデル電力系統に適用し、確実性と効率の観点からその有効性を評価した。評価結果より明らかになった問題点を解決する方策を検討し、手法の改良を計った。 2.探索手法の実用性を高めるために、下記事項について検討し、それらの成果を踏まえて実用的手法を確立した。 (1)非相似負荷パターンへの対応:同一電力系統における負荷は季節、日時などにより相似的に変化すると推測される。このため、近似的には、負荷パターンは互いに相似とみなせるが、各負荷が戦略的に変化するため、そのようにみなせない場合にも適用可能な手法を開発した。 (2)不確定要素への対応:電力系統のリスク値は事故発生率、事故復旧率、分岐確率などによって支配されるが、これらの値は不確定要素が多く精度の高い値を求めるのが困難である。従って、平均値による評価だけでは不十分であり、悲観値に変更した場合にも、最初からやり直すのではなく、最小限の修正で対応できる方法を開発した。 (3)リスクに与える影響の評価:自由化に伴う系統運用方法、制御保護方式や装置などを変更したとき、探索手法の中でこれらの変更によって影響を受ける箇所と受けない箇所を分離し、前者のみを再計算することにより、リスクに与える影響を効率的に評価できる手法を開発した。 (4)自然災害に起因するハイリスクへの対応:地震、台風、豪雪などの自然災害が発生した場合、多重事故によりハイリスク事象が発生する確率が高くなる。このような場合にも対応できる探索法を開発した。さらに、開発した手法を用いて地震を自然災害の代表例として取り上げ,ハイリスク事象を探索した。 3.オーストリア、中国へ海外出張し、国際会議で研究成果を発表し、専門家のコメントを受けるとともに関連機関を訪問して研究情報を収集し、今後の研究活動に反映させた。
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