研究概要 |
希土類酸化物材料のLa_2O_3が次世代高誘電率絶縁膜(high-k膜)として非常に有望であることが最近の研究で示されているため、次世代CMOS用ゲート絶縁膜材料としてLa_2O_3を導入するための研究が盛んになっている。La_2O_3をCMOS集積回路技術用に導入するためにはpMOSおよびnMOSトランジスタに適した仕事関数を持つ電極材料の開発が必要であり、次世代CMOSの電極材料に金属材料が用いられると予測されていることから、本研究では、La_2O_3をゲート絶縁膜に用いた次世代CMOS技術のために最適なメタルゲート材料の選定することを目標にゲート材料の探索研究を行っている。 本年度は、まず本研究で薄膜作成に用いている「超高純度薄膜形成実験装置」で本研究の目的にあった実験が行えるように装置調整を行った。それからこの成膜装置を用いて電子ビーム蒸着法によりLa_2O_3の成膜実験を行い、堆積時の基板温度、堆積速度、熱処理条件など絶縁膜の膜質に影響を与えるパラメターを振ることにより、MOSキャパシタを作製し、C-V(キャパシティー電圧)および1-V(電流一電圧)特性を測定した。これらの実験データから、EOTが1nm前後の場合においても、膜質の再現性が得られる絶縁膜作成条件について検討を行った結果、絶縁膜としての特性のばらつきが少ないLa_2O_3が作成できるようになった。そこで、Pt, Wなど数種類の金属材料を電極として用いたMOSキャパシタを作成し、C-V特性の測定によりLa_2O_3上での各種金属材料の実効仕事関数の導出を試みた。 La_2O_3を用いたMOSキャパシタ構造での金属電極の実効仕事関数に影響を与える各種因子について調べた結果、La_2O_3の吸湿性の問題、金属/絶縁体界面での界面層形成、膜中の固定電荷及び界面準位密度の問題なども検討すべき重要課題であることがわかった。
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