研究課題/領域番号 |
18560299
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
新保 一成 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80272855)
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研究分担者 |
金子 双男 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20016695)
加藤 景三 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00194811)
大平 泰生 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10361891)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | 有機トランジスタ / 電荷発生層 / 五酸化バナジウム / 銅フタロシアニン / 移動度 / 電荷移動錯体 |
研究概要 |
本研究では、五酸化バナジウム・(V_2O_5)薄膜を積層した有機電界効果トランジスタ(OFET)を作製し、その物性や動作原理を調べた。V_2O_5は、有機電界発光素子(OLED)において電荷発生層として働くことが知られている。これは、複数のOLEDユニットをV_2O_5を挟んで積層すると、V_2O_5からキャリアが発生・注入され、それぞれのユニットが発光するものである。本研究は、このV_2O_5をOFETに適用した素子の動作を検討した。まず、si/siO_2/銅フタロシアニン(cuPc)/v_2O_5の積層構造でFETを作製し、V_2O_5層が無いcuPcのFETに比べドレイン電流の増大を確認した。次に、si/SiO_2/V_2O_5/CuPcの構造としたところ、やはりドレイン電流が増大した他、逆極性のゲート電圧で動作した。これに対し、V_2O_5単層素子ではFET動作は見られなかった。またV_2O_5とCuPcの共蒸着薄膜の光吸収特性において、CuPcのQバンドで約0.1eV低エネルギー側に新たな光吸収が見られた。UPS測定によるイオン化ポテンシャル測定においても、CuPcより0.1eVほど浅い順位の形成が示唆され、光吸収の結果と対応すると考えられた。V_2O_5層挿入FETの動作原理としては、V_2O_5とCuPcの間で電荷移動錯体が形成され、ゲート電圧により電荷分離しCuPcに正孔が注入されてチャネル形成に寄与するものと推定された。V_2O_5とCuPcの積層順によりキャリアが注入される電圧極性が変わるため、FET動作時のゲート電圧極性も異なると考えられた。また、素子の膜厚依存性からV_2O_5とCuPc間の相互作用は数十nmに及ぶことが明らかとなった。さらに、他の有機半導体を用いた実験も行っており、マグネシウムフタロシアニンとの積層で大きな駆動時ドレイン電流を観測した。本手法は様々なOFETに適用でき、その機能を向上できるものと考える。
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