研究概要 |
多様なシリサイド半導体結晶の成長を行い,構造的,電気的,熱電的性質を評価した。 溶融塩法による大型β-FeSi_2基板の作製プロセスを開発し,概ね1cmx1cmに近い角形β-FeSi_2基板を作製した。このプロセスでは基本的に容器の大きさにより成長する結晶の大きさが制限されるため,成長に用いる容器をさら大型化する事によりさらに大型基板を作製する事が可能である。またこの半導体基板はp形であり低温でのキャリア密度は10^<16>/CM^3程度であった。今後ドーピングによる伝導性制御が期待でき多結晶ではあるが今後の半導体テクノロジーの発展に大いに寄与できるものと思われる。さらにこの溶融塩法で作製したβ-FeSi_2結晶の構造を詳細に調べβ-FeSi_2ドメインの構造と分布,結晶方位,欠陥の種類と分布を明らかにした。 単相Ca_2Si結晶粉末をMg_2Si粉末をCa雰囲気中にて熱処理する事により作製し,電気特性,熱電特性を評価した。500K付近で250μV/Kのゼーベック係数を有するが,電気抵抗が500mΩcm以上と高く,低抵抗化が今後の課題である。この高抵抗の原因は作製時の試料の酸化が原因であり,酸素フリーの成長条件にてCa_2Si結晶粉末を作製する必要がある。 単相のCa_5Si_3,Sr_5Si_3粉末結晶を作製し,電気特性,熱電特性を評価した。これらの結晶はp形であり,Ca_5Si_3は室温付近で10m0hm-cmと比較的小さな抵抗値を示したが,ゼーベック係数は数十μV/Kと小さかった。 さらにメカニカルアロイング法によりCaシリサイド粉末を作製し,電気的熱電特性を評価した。600K付近で150μV/Kのゼーベック係数を有するが,電気抵抗が100mΩcm程度の値を示した。さらに高温プレス、アニールにより低抵抗化が期待できる事から,Caシリサイドは中温領域において有望な材料であると期待できる。
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