本研究では直接合成法にアルミニウム(Al)源を添加し、基板として使用可能なバルク窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)結晶を得ることを目指した。直接合成法でバルクGaNを成長する場合、原料には金属Gaとアンモニアを用いる。短波長発光デバイスへの使用を考えた場合、Al組成を制御したAlGaN混晶基板が作製できれば、基板による光吸収を抑えかつほぼ格子整合した系での成長が可能となり、同時に禁制帯幅が広すぎないため電気伝導性の制御も容易になる。そこで直接合成法にAl源としてトリメチルアルミニウム(TMA)を添加し、AlGaN結晶を作製した。直接合成法による結晶成長においては基板としてサファイアc面上にMOCVD法により薄いGaNを成長したテンプレートを用いた。Al組成が数%程度までは表面が平坦で厚さ20μm程度のAlGaNが得られた。成長時間は1時間である。また成長温度を上げることにより、Al組成が20%程度のAlGaNが得られた。しかし結晶性は悪く、基板として使用できるレベルではなかった。 また並行してサファイア基板上にMOCVD法によりAlGaNを成長し、紫外LEDに向けての検討を行った。その結果、結晶中に存在する転位のうち、特に刃状転位や刃状成分を含む混合転位がLEDの発光強度に大きく影響することがわかった。またLED構造の下地層にAlGaNを用いたとき、同程度の結晶性のGaNを用いた合より発光強度が強くなることが見出された。これはGaNが発光した光を吸収するのに対しAlGaNは吸収しないためであり、基板をAlGaNにすることによりさらに改善されると考えられる。また電極形状の検討もあわせて行った。形状によっては発熱による光出力の低下が見られ、放熱が重要であることが確認できた。
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